評価:☆4.0
ゼノギアス(PS)、クリアしました。
クリア時間は64時間。まずは一言。
このゲームはやべぇ……!
色々な意味でやばい。1998年のゲームだということもやばいし、設定の作り込みもやばいし、何よりもエッチな描写面白さがやばい。プレイしている時は頭おかしくなるかと思いましたね。
DISC2は別の意味でおかしいけど。
リメイクを希望する声が多数ってそういう意味!?
完全版出せってことね。
何にせよ、DISC2を考慮した上で名作と呼んで余りあるゲームです。それくらい良い点がぶっ飛んでる。こんな練りに練られたストーリーは中々お目にかかる機会はありません。プレイしないのは勿体ない。何とかスクエニと交渉してリメイクしてくれモノリスソフト。版権買い取ってくれ。
先に言っておきますが、グラーフが大好きです。
ジャンル | RPG |
---|---|
対応機種 | PlayStation |
開発元 | スクエア |
ディレクター | 高橋哲也 |
音楽 | 光田康典 |
発売日 | 1998年2月11日 |
売上本数 |
日本:89万1675本 世界:146万本 |
神は堕ちてきた……
忘却の彼方より繰り返される悲劇
輪廻と再生
破滅と癒し
神とは何か?
その意図するものは?
GOD ONLY KNOWS
FFVIIとほぼ同時期に開発がスタートしたことや、FFVIIの没案である「プロジェクト・ノア」を元にしていることから、裏FFVIIとも呼ばれる。後にゼノサーガやゼノブレイドなどの作品に続いていく、ゼノシリーズの原点とも言える作品。
ミリオンヒットを達成すれば続編がスクエアに承認されるはずだったが届かず、高橋氏はスクエアを退社してナムコ出資の元、杉浦氏や本根氏と共にモノリスソフトを設立。現在は任天堂傘下に入っている。
1. キャラクター
※ここから先はネタバレ含みます。
1.1 フェイ
本名 | ウォン・フェイフォン |
---|---|
年齢 | 18歳 |
CV | 緑川光 |
搭乗ギア | ヴェルトール→ヴェルトール2→ゼノギアス |
俺はいったい何者なんだ……
本作の主人公。ポニテ。
全ての能力が高水準で纏まっており、生身でもギア戦でも安定した活躍ができるザ・主人公スペック。個人的にはレベルアップ時のエーテル能力上昇をある程度厳選した方が良いと思います。
記憶喪失。3年以上前の記憶が欠落しており、自分が持つ力に振り回されながら運命に巻き込まれていきます。
多重人格者であり、暗殺者イドと同一人物
フェイの中にある人格は3つ。
主人格であり本来のフェイ、通称《臆病者》
裏人格であり、世の全てを憎む《破壊者イド》
第三の人格であり、3年前に初めて生まれた真っ白な人格。これが今までプレイヤーが操作していたフェイです。なんで人格変わると服も顔も髪色も変わるんだろう……とか言っちゃいけない。
3つの人格を統一する場面は、母の愛を知り、ヒトの強さに触れ、己の弱さを乗り越える本作屈指の名シーンです。
事象変異機関《ゾハル》の檻に閉じ込められた《波動存在》を解放するために力を与えられた《接触者》としての使命を負っている。そのため、波動存在を解放するまで、何度でも転生を繰り返す。
アベルはエルドリッジ号唯一の生存者。1万年前の最初の接触者。
キムは旧ゼボイム文明の医者であり科学者。4000年前にナノマシン生命体エメラダを生み出した。
ラカンは500年前のソラリス戦役時の人物。後にグラーフとなり、ディアボロスを率いて世界を崩壊寸前まで蹂躙する。
フェイは何度も何度も転生を繰り返しては、想い人のエリィを目の前で失ってるんですよね。それも毎回「生きて……」という呪いにも似た祈りと共に。それが原因で、ラカンはグラーフになるわけですが。
でも、最後の最後で繰り返される悲劇を断ち切る。
1.2 エリィ
本名 | エレハイム・ヴァン・ホーテン |
---|---|
年齢 | 18歳 |
CV | 冬馬由美 |
搭乗ギア | ヴィエルジェ→E・レグルス |
だって……一人じゃ寂しいものね……
本作のヒロイン。フェイの嫁。B・W・H:86・57・84
生身だとあんまし強くない。何故なら素早さが低めだから。このゲームは素早さが最重要ステータスであり、速さが正義です。エリィは遅いので、シタン先生やフェイと比べて行動回数が少なくなってしまいます。ただし、エーテル要因になれるので、決して弱いわけではありません。僕は生身でも基本メンバーの中に入れてました。
ギア戦だと最強クラス。エーテルダブル + E回路 or パワーマジックであっという間にダメージカンスト。素早さも高いし文句無し。エアッド最強!
アベルが転生する度にエリィも転生し、定義された「母」としての特性の下、接触者を守るようプログラムされている。
そして何度もアベルとその転生体を庇って死ぬ。
1万年前のエリィは天帝カインからアベルを庇って死亡。
4000年前のエリィはナノマシン技術を奪いに来た軍部からキムとエメラダを庇って死亡。
500年前のエリィは聖母ソフィアとして、ラカンを守るために特攻して死亡。
そして本作のエリィも、ヘヒトの時といい、フェイがイドになった時といい、フェイが拉致られてカレルレンに呼び出された時といい、「お前死にてえのか!」と言いたくなる場面が多い。自己犠牲の精神に溢れた結果でしょうか。
でも最後には「助けて!」って言えるようになる。
1.3 シタン
本名 | シタン・ウヅキ |
---|---|
年齢 | 29歳 |
CV | 田中秀幸 |
搭乗ギア | ヘイムダル→E・フェンリル |
いいえ、私は遠慮しておきます。
物語序盤から主人公と行動を共にする医者であり技術者。
頭脳明晰で武術の心得もあり、ギアの整備も作戦立案も何でもできる天才超人。便利屋過ぎて胡散臭い。見た目も胡散臭いし……
攻撃力こそ並みだが、体力が高水準で補助エーテルも充実しており、何より素早さが高い。作中最速。つまり生身では最強ということ。ギア戦でも基本スペックは主人公機ヴェルトールの上位互換と隙が無い。そしてやっぱり速い。
しかも途中で刀を持って攻撃力まで最強になる。最早生身の戦闘では敵無し。公式チートとはまさにこのこと。
最終盤でも専用ギアのE・フェンリルはゼノギアスに次ぐスペック。OMEGA100とGNRS50は禁忌の装備。
本名、ヒュウガ・リクドウ。
ソラリス帝国出身で元精鋭部隊《エレメンツ》の一員。ソラリスの《守護天使》であり、天帝カインの命でフェイの動きを常に監視していた。目的は、フェイが《アーネンエルベ》に足る存在かどうかを見極めること。ちなみにソラリス製のギアはだいたい彼が設計に携わっている。
あまりの胡散臭さに裏切るかと思った。
やっぱり裏切られたと思ったら、本当は味方だった。
ショオー!
1.4 バルト
本名 | バルトロメイ・ファティマ |
---|---|
年齢 | 18歳 |
CV | 関智一 |
搭乗ギア | ブリガンディア→E・アンドヴァリ |
ワイルドスマイル!
砂漠の海賊としてユグドラシルを率いる頭領。アヴェ王家の血筋を引く正当後継者。6歳の時にシャーカーンの反乱によって王朝は崩壊。マルーと共に幽閉され、鞭による拷問を受けた。使用武器が鞭なのは、その時のトラウマを克服するためらしい。
ミサイル大好き。バルトミサイル!
戦闘では素早さは並みだが攻撃力が比較的高い。
そんなことよりも彼の代名詞は補助技。ワイルドスマイルが超便利。DISC1の後半では、最速でギア・バーラーと同調するので、ギア戦でメインを張れる。ユグドラシル砲が強い。
余談ですが、たぶんマルーと結ばれます。
1.5 リコ
本名 | リカルド・バンデラス |
---|---|
年齢 | 30歳 |
CV | 麦人 |
搭乗ギア | シューティア→E・シューティア |
速さが足りない!
亜人の大男。キスレブの犯罪者収容地域「D区間」支配していたバトリングのチャンピオン。通称キング。
初登場時はキスレブに囚われたフェイの前に登場し、圧倒的な力で打ちのめした。いわゆる負けバトル。その後リコの部下が地下水道で殺された際にフェイに容疑がかかり、疑いを晴らす目的でパーティ入りする。
そしてあまりの弱さに驚く。
まず何より遅い。遅すぎてシタン先生が2回動く間に1回しか動かない。
しかもすぐ死ぬ。
防御は高いがエーテル防御が低すぎて話にならない。必殺技も投げ主体で巨大な敵には入らない。お前さっきのあの強さはどこいったんだよ!って言いたくなる弱さ。
ギア戦では生身よりはマトモ。攻撃力が高く、素早さの低さも生身程では無い。だが、後述するマリアの専用機ゼプツェンの下位互換。後半でギア・バーラーに乗っても出力が何故か据え置き。アニマの器と同調できてないじゃん!
キスレブ総統ジークムントの実子。
ジークムント不在時に妻アンナは人体実験の被検体となり、身籠ったまま帝都を追放される。その影響でリコは亜人として成長した。総統府に侵入したリコがDNA認証の扉を開けるシーンが伏線。その後、教会主導の亜人迫害政策によってリコはジークムントを憎むようになる。教会クソ過ぎる。
たぶんDISC2で入るはずだったリコのイベントが容量の関係で削除されてます。
1.6 ビリー
本名 | ビリー・リー・ブラック |
---|---|
年齢 | 16歳 |
CV | うえだゆうじ |
搭乗ギア | レンマーツォ→E・レンマーツォ |
一晩で3000G
教会所属の贖罪審問官《エトーン》として活動している。死霊退治を任務としながら孤児院を営む美青年。お金に困って身体を売ろうとしたことがある。
戦闘では銃を使用。素早さが並みで体力と防御力は低い。代わりに銃を使った攻撃力は高く、回復等の補助技にも恵まれる。何より彼の銃にはエーテル弾というものがある。
つまりエーテルダブルで火力がバグる。
ギア戦も同様。エーテルダブル + E回路 or パワーマジックでダメージがカンストする。しかもオヤジ砲ことジェシーカノンにも適用されるため、毎ターン簡単に9999ダメージを叩き出す。間違いなく主力。
1.7 マリア
本名 | マリア・バルタザール |
---|---|
年齢 | 13歳 |
CV | 渡辺典子(スクエア広報スタッフ) |
搭乗ギア | ゼプツェン |
♰死を運ぶ黒い翼♰
空中都市シェバトの少女。ゼノギアス幼女その1。父のニコラは脳神経工学の天才。曾祖父のアイザックはギア工学の天才。そしてマリアは厨二病。
生身での戦闘力はほぼ皆無。まず速さが低い。元々身体が弱いという設定もあり必殺技も無い。攻撃力も与えるダメージは0か1なので話にならない。ただし、ゼプツェンを召喚して戦えるので、エーテル要因にはなれる。
ゼプツェンが父であり母
ゼプツェンは人機融合ギアであり、マリアの母クラウディアの脳が繋がれている。父のニコラはアハツェンと融合し、後にシェバトを襲撃するが、事前に組み込んだ良心回路によって正気を取り戻し、マリアに自機の破壊を託す。
「わたしは人として生きていた頃の父さんが好きだった……
優しそうに微笑んで……いつも……いつまでも……側にいてほしかった……」
ここのシーンは作中屈指の名シーン。泣く。
1.8 エメラダ
本名 | エメラダ・カーリム |
---|---|
年齢 | ? |
CV | 根谷美智子 |
搭乗ギア | クレルケンス |
キムキムキムキムキム!
旧ゼボイム文明の遺産。ゼノギアス幼女その2。外見年齢は10歳前後。ナノマシン生命体であり、自由に身体を変形させることができる。フェイをキムと呼んですぐ懐く。逆にエリィには「おばさん」と呼んで敵意を示す。
戦闘では最強クラス。素早さが高く、シタンに次いで高い。攻撃力も高く、エーテル能力も範囲、攻撃力、成功率と全ての面でエリィを上回る。
ギア戦でも素早さが最速で、エーテル能力も最高クラス。攻撃力も並みレベルなので主力として活躍する。例によってエーテルダブル + E回路 or パワーマジックでバグるが、瞬間火力はエリィのエアッドおよびビリーのジェシーカノンに劣る。
ただでさえ強キャラなのに、成長してさらに強くなる。
外見年齢は16歳くらいまで成長し、成長率が跳ね上がる上に、ダメージに1.2倍の補正がかかる。B・W・H:84・55・82と年齢に不釣り合いなスタイルの良さ。さすがエリィの子。
エメラダはフェイの前々世であるキムが創り出した人口生命体。
旧ゼボイム文明の人類は、知能が高い一方で遺伝子に欠陥を抱えており、30歳くらいまでしか生きられない身体だった。キムはこの時代に生まれた医学者であり、人類の未来を憂いていた。この星に生命を存続させるには、呪われていない真っ白な命を創造する必要がある。そこで、キムは自分とエリィの身体の構成パターンを参考にして原子レベルで新たな命を創り出した。
人類の導き手として暗躍していたミャンは、この技術を奪おうと軍を差し向ける。しかし、エリィはキムとエメラダを守るため、身代わりとなって死亡。キムはエメラダを凍結する。結果、ミャンは核戦争を起こして人類をリセットした。
「あたしは自分でも自分をモノだと思ってた。こんな身体だし……
マリアやマルーや……エリィとは全然違う、紛いもののヒトだって……
でも……でも違った! キムやあのエリィはあたしのことを天使だって……」
「……ああ、お前は望まれた子供だよ。
四千年も昔から、キムが、俺の血の中に居たんだ。
自分では、とうとう抱けなかった、自分の子が、いつか生まれて来る日のために」
(´;ω;`)ブワッ
ゼノギアス名シーン多すぎな!
ちなみにエメラダを成長させるかどうかは任意。僕は当然成長させました。成長後の方が強いし何より好きなんですわ。
美少女過ぎない?
2. 評価点
2.1 BGM
名作の常。名作は名曲ありき。
素晴らしいですね本当に。言葉は要らない。
2.2 ストーリーと設定
何といってもこれ。
有り得ない作り込み。グッジョブと言わざるを得ない。
本作の特徴は、設定が練りに練られていることです。RPG史上最高という呼び声が高く、実際に過言ではありません。1万年にも渡って作り込まれた設定は、専用の設定資料集が発売されているレベルで、かなり複雑になっています。興味がある方は資料集を読むか、有志が作成した動画を視聴するのが良いと思います。
ストーリーも序盤から伏線が多く、至る所に散りばめられています。町で出くわすちょっとしたイベントにも意味を持たせており、その全てを綺麗に回収していく様は見事と言う他ありません。
昨今の風呂敷を広げるだけ広げて畳まないゲームは見習って欲しい。
正直全てのイベントが重要なんですが、その中でも特に重要そうなものをピックアップ。
ラハン村におけるフェイの暴走
初めてヴェルトールに乗ったフェイが、暴走して村を壊滅させたシーン。最初に《破壊者イド》が発現したシーンでもあります。親友のティモシーと両想いだったアルルを失う、いきなり欝な内容。正直言ってとんでもない始まり。
僕「ああ、こういうゲームね……」
エリィの暴走
エリィは生まれつき高いエーテル能力値を保持しています。ドライブは人間の潜在能力を一時的に引き出す薬物ですが、その接種によってエリィは暴走してしまいます。これは、エリィが《接触者》の対存在であることの証明でもあります。
てかドライブって完全に……覚せい剤じゃ……
バル爺による異質な世界観の示唆
オープニングでエルドリッジ号が墜落したのが一万年前。それ以前はこの星に人類がいなかったことの伏線。
ヒトが地に満ちたとき、神はその永き眠りから目醒める。
そして天空の楽園マハノンも目醒める。
また、バル爺はマリアの曾祖父アイザック・バルタザールで、500年前から生きるギア工学の天才。シェバト三賢者のひとり。フェイが操縦するヴェルトールを一目見た瞬間、「神を滅ぼす者の憑代」と語っており、グラーフが操縦するORヴェルトールのレプリカであることを見抜いています。
バル爺はマリアにギアの乗り方を教えるべき。
教会の真実
ビリーが所属していた教会の真実が明かされるシーン。死霊〈ウェルス〉が元々はヒトであったことが明かされる。
この辺りから、いよいよキナ臭くなってきます。
ソラリスの生体実験によってヒトがウェルスにされた後、優秀なウェルスだけが部品として使用され、それ以外は破棄される。破棄されたウェルスは地上でヒトを襲い、悲劇が生まれる。教会の贖罪審問官《エトーン》がウェルスを退治し、教会の威信を広めつつ、身寄りの無くなったヒトを保護という名目で拉致する。拉致された子供たちは、教会の司祭たちの快楽を満たす道具として用いられる、もしくはソラリスへ労働力や生体実験の被験体として輸送される。そこからまたウェルスが生まれ……もう十分ですね。
僕はこのタイミングでCEROを確認しました。
D(17歳以上)でした。ちなみにFFVIIはB(12歳以上)。
エメラダの眠る旧ゼボイム文明
かつてフェイが「キム」として生きていた時代に、エリィがキムを庇って死んだ場所。キムが凍結したエメラダの封印をエリィが解きます。
ゼボイム文明すっごい好きなんですよ!
後に実際に行けますが、ほんと今の時代のビル群とか道路とか線路とかが残ってて、まさに旧時代の遺物って感じで描かれるんですね。ロマンがやばい!
ソイレントシステム
みんなのトラウマ。
これを語らずしてゼノギアスは語れない。
神聖ソラリス帝国の生体実験場。目的はヒトを本来あるべき姿、つまり部品に作り替えること。死霊〈ウェルス〉はここで生成される。
まず教会から送られた地上人は、労働力と実験台に選別される。実験台にされた地上人はウェルスへと作り変えられ、適性のあったものだけが人機融合ギアの部品として使用される。不良品は地上への投棄され、上述のようにエトーンに始末させる。そしてショッキングなのはこの生体実験の最終処分場。不要なもの、余ったものは大型槽でバラバラにされた後にベルトコンベアに乗せられ、プレスされて食用加工される。
食用加工される。
(゚△゚;)え?
シタン先生がドSやら畜生やらと言われるわけはこれですね。
しかも地上での知り合いも拉致されて死霊になっており、まだ意識が残ってる者もいます。犬が大好きだった彼とか。檻を開けるなと言ってきたり、意思に反してフェイ達を襲ってきたり、最期の最期まで自分の犬を案じていたりとトラウマのオンパレード。ちなみに死霊となったヒトを助ける方法はありません。
ミャンとエリィの統合
エリィの中のミャン因子が覚醒するシーン。
神の眠る地《マハノン》とはエルドリッジ号の中央ブロックの名称。ミャンの言う神とは恒星間戦略統合兵器《デウス》のこと。元々エレハイムとミャンは一つの存在であり、目的はこのデウス復活。
この生体兵器の部品としての運命を定められたのがヒトです。ヒトとは本来部品なんです。そして動力源が事象変異機関《ゾハル》であり、その中に閉じ込められているのが波動存在。その波動存在の《接触者》がアベルであり、アベルの《対存在》がエレハイムです。
ややこしい!
フェイの人格の統合
何故元々のフェイ《臆病者》が、もう一つの人格《破壊者イド》を生み出したのか。その理由が明かされるシーン。
元はと言えば、母のカレンが持つミャン因子が覚醒したことが原因。997代目のミャンとなったカレンは、フェイが《接触者》だと気付き、幼いフェイに過酷な実験を施す。その苦痛から逃げるため、フェイは痛みや苦しみを担当する人格《イド》を作った。
やがて力を覚醒させたフェイは、暴走から母を殺害してしまう。その事実に耐えられず、「母を殺したのはイドであって自分ではない」と責任をイドに押し付けて殻に閉じ籠る。結果、愛情を知らないイドはこの世の全てを憎むようになり、以後数年に渡って《暗殺者イド》としてグラーフと行動を共にするようになる。
しかし、実際はフェイがカレンを殺害したわけではなかった。カレンは最期の最期で正気に戻り、フェイを庇って身代わりとなったのが真相だった。
母の愛は確かに存在したのです。
イド「俺には……温かすぎる……」
2.3 魅力的な敵キャラクター
ラムサス
みんな大好き塵閣下。
天帝カインのクローンで、全てのアニマの器と同調できるメチャメチャ凄い人。エレメンツ四人の女の子から慕われる紛れもなく勝ち組だけど、みんなから塵と馬鹿にされる可哀想な閣下。
グラーフ
最高。一番好き。
既に何度も触れていますが、主人公フェイの前世ラカン本人です。ただし、肉体は既に滅びており、妄念だけが形作っているような存在。ゲーム本編ではなんとフェイの父親であるカーンに憑依しています。
フェイの前世であり、父親であり、師でもある存在。
もうね、最高なんですよ。ソフィアが死の間際に放った「生きて! ラカン!」という言葉が彼を縛り、「この世の終わりまで生き続ける。終わらないなら自らの手で滅ぼそう」と歪んでいく様とか、もうツボ過ぎる。
目的は生まれながらにして呪われた運命を持つヒトを全て滅ぼすこと。
そのくせソフィアの生まれ変わりであるエリィには攻撃しないし、寧ろ護ってるし。
フェイとエリィが瀕死の時には二人をトーラのところへ運んでるし。
怒りと憎しみに取り憑かれながら、僅かに残ってるラカンとしての部分が垣間見えるこの部分。
これが最高なんすわ!
ゼノギアスvs真ヴェルトールなんてもう熱過ぎて草よ!
カレルレン
ラカンの親友。ニサン僧兵長であり、ソフィアに想いを寄せていた。いわゆる三角関係。そしてソフィアの死によって狂わされた男その2。
神がいないなら自らの手で神を創り出そうという目的で暗躍する、実質的なラスボス。
「私はあの時を境にして、ヒトとしての道を失った。
多くの禁も犯した。
もはやヒトとして生きることは許されまい。
私を赦してくれるのは神のみだ」
「そんなことはない!
みんなだってきっと分かってくれるさ。
罪滅ぼしの時間だってたくさんある。
お前にならそれができるよ!」
「相変わらず優しいんだな……ラカン。
きっとそれが、人として生きる事の意義なんだろうな。
だが行けないよ。決めたことだ。私は神と歩む」
「お前たちが……羨ましいよ……」
エリィはカレルレンを、「誰よりもヒトを愛していた男」と言いました。
ゼノギアスはしばしば片翼の天使が映されます。不完全故に互いに助け合えることの象徴であり、フェイとエリィを表した像でもあります。
そして、カレルレンは両翼、つまり完全な存在となったことを表しています。
にも関わらず、最期にヒトとしてカレルレンが羨んだのは、不完全なものに対する憧れであり、これこそが彼の嘘偽らざる本音だったわけですね。
3. 悪い点
アクション性のあるダンジョン。
何故にジャンプアクションありきの構成にしたし。分かりづらいんじゃ。ただでさえマップなくて迷うのに、高低差あったら余計迷うだろうが。
それもランダムエンカウントする。
ジャンプ中にエンカウントするとジャンプがキャンセルされる。しかもエンカウント率が高い。高すぎる。当時のRPGは高めに設定されてるゲームが多いけどゼノギアスも例に漏れない。落ちたらまた登ってこなきゃいけないダンジョンもある。
バベルタワー君、話聞いてるかな?
何度落ちたことか。エンカウントこそ固定になってるけど、やたらシビアなアクションを要求してくるせいで落ちまくる。はっきり言ってめんどい。
ってか、ギアは飛べるんだろ?
みんな飛んでんじゃん。ムービー中やイベント中なんてもうビュンビュン飛んでんじゃん。
なのになんでダンジョンだとジャンプしかできないんだよ!
飛べよ!
まぁ、あとは冒頭でも触れた通り、DISC2でしょうか。
色々なイベントがカットされているのは明白ですし、中にはエメラダとエリィの共同イベントという超重要そうなものまでカットされています。仕方ないとはいえ、残念なことは確かです。完全版を望む声が多いのも頷けますね。
4. 総評
凄く面白かったですね。名作です。
僕は基本的に点数を点ける場合、加点方式で良い点を加えていった後に、減点方式で引いていく形式を取っています。
ゲームの名作にも色々なタイプがあり、悪い点が少なく全体的に高水準に纏まった優等生タイプと、悪い点も多いがそれ以上に良い点がずば抜けている奇才タイプに分かれます。
このゲームは後者ですね。
ゲームバランスやダンジョンの作り込み、DISC2といった少なくない減点対象を持ちながら、ストーリー、設定、世界観等があまりに異質であるために否応なく名作に区分されてしまうゲームです。
皆様も一度はプレイしてみては如何でしょうか。
長々と読んで下さってありがとうございました。