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【ゲーム】ペルソナ2 罰(PS版)/滅びの夢の先、待ち受ける大いなる「罰」


評価:☆4.1

前作「罪」のパラレルワールド

女神異聞録ペルソナから続く物語の集大成。ペルソナ3以降は作風がガラっと変わっており、2Dペルソナとしては最後の作品となる。登場人物のほとんどが成人しており、そういった意味でも異色の作品。

前作「罪」に関してはこちら。

gyosyonin-memo-gamereview.hatenablog.com

 

ジャンル RPG
対応機種 PlayStation
開発元 アトラス
プロデューサー 岡田耕始
美術 金子一馬副島成記
発売日 2000年6月29日

www.youtube.com

滅びの夢の先
待ち受ける大いなる「罰」

主人公「天野舞耶」は、ティーン向け情報誌の編集部に勤める編集者である。

幼い頃から憧れた職業に就き、上司と反目したりしながらも、それなりに充実した日々であった彼女の日常は、一人の少年との出会いにより崩れだす。

少年の名は周防達哉。

舞耶は、名前すら知らないはずのその少年に、なぜか以前から知っていたかのようなデジャ・ヴュを憶え、胸を騒がせる。

そんなある日、彼女は、近頃街を震撼させる連続猟奇殺人にまつわる「JOKER呪い(まじない)」の噂を取材するよう命じられ、七姉妹学園(ななしまいがくえん)を訪れる。そこで待ち受けていたのは、JOKERを名乗る噂の殺人鬼の襲撃と彼女を救った「デジャ・ヴュの少年」との再会、そしてペルソナと呼ばれる別人格の発動だった。

「<向こう側>を思い出せ」

……謎の言葉を残し消え去るJOKERと「全て忘れろ」と言い残して立ち去ったデジャ・ヴュの少年の影を追い、運命の車輪は再び音をたてて回り始める。

全てを知っている……

いや、何も知らない……?

錯綜する記憶の糸を辿る先に待つものは、大いなる罰か?それとも……

(説明書より)

1. キャラクター

1.1 天野舞耶

「罪」の記事参照。

 

1.2 芹沢うらら

男運の無い化粧美人。

「罰」のパーティメンバー。

舞耶のルームメイトで親友。「罪」にも登場するが仲間にはならない。ちなみに、罪/罰の両作品で結婚詐欺に逢っている。舞耶と共に七姉妹学園を訪れた際、戦いに巻き込まれてペルソナ能力に覚醒する。

使用武器は拳。適性アルカナは星。初期ペルソナはSTAR カリスト、最強ペルソナはSTAR アステリア。ステータスはAGIに優れる遊撃タイプ。先手を取りやすい反面、TECが低めで火力を出しづらい。ギンコと傾向が良く似ている。


物語序盤のボスのひとり。

自分に対して漠然とした不安を抱いており、「本当の自分」を探している。結婚願望が強いのはその一面。舞耶とは親友である一方で、はっきりとした「夢」や「理想」を持つ彼女を妬む一面もある。かつてJOKER呪いを舞耶に対して行っており、それが原因で自身もJOKERになってしまう。しかし、舞耶自身にもうららを羨む気持ちがあったことを認め、正気を取り戻したうららと和解。二人は再度親友同士となる。

 

1.3 周防克哉

猫が大好きなブラコン

「罰」のパーティメンバー。

主人公「周防達哉」の兄であり、現職の刑事。JOKERによる連続殺人の捜査で七姉妹学園を訪れた際に、舞耶やうららと共に事件に巻き込まれる。

使用武器は拳銃。適性アルカナは正義。初期ペルソナはJUSTICE ヘリオス、最強ペルソナはJUSTICE ヒューぺリオン。ステータスはSTRとVITに優れる前衛タイプ。反面、AGIとTECが伸びづらい。いわゆる栄吉タイプ。


冤罪で辞職した父のため、自分の夢を諦めた青年。

元々の夢はパティシエになること。しかし、高校生のときに父が冤罪で辞職し、父の無実を晴らす目的で警察官へと進路を変える。薄給ながらも達哉の将来のために貯金もしており、シャドウ克哉からは「父や弟のために自分を殺している」と指摘された。その指摘を「半分は当たっている」と認めながらも、しかし「家族を想う気持ちに嘘偽りはない」と告げ、シャドウに向けて引き金を弾いた。そして動揺する達哉に、「そんな顔をするな。お前は僕の弟なんだぞ」と声を掛けた。

 

1.4 パオフゥ

台湾人を自称する怪人物。

「罰」のパーティメンバー。

中国語で「復讐」を意味する言葉である「パオフゥ」を名乗る人物。盗聴を生業とし、掲示板サイトで街中の「噂」を集めている。大物政治家で新世塾の頭である須藤竜蔵と因縁があり、彼の動向を探っている。

使用武器はコインを飛ばす指弾。チャカより速いらしい。適性アルカナは刑死者。初期ペルソナはHANGEDMAN オデュッセウス、最強ペルソナはHANGEDMAN プロメテウス。ステータスはSTRとVIITに優れる反面、AGIとTECに劣る前衛タイプ。この作品の男性キャラはみんなこんな傾向。


元珠間瑠地検特捜検事、本名は嵯峨薫。

かつて須藤竜蔵と台湾マフィアの関係を探っていた際、竜蔵が差し向けた殺し屋の云豹(ユンパオ)に襲われ、恋人の浅井美樹を喪っている。薫自身はペルソナ能力の発現により辛くも生き延びたが、「嵯峨薫」は殉職として扱われた。その時の経験から警察を一切信用しなくなり、ペルソナ能力を「パートナーの一人も助けられない力」として嫌悪するようになる。しかし、彼が本当に許せなかったのは自分自身だった。自分の力を過信し、万能感に酔い痴れ、無謀にも突っ走り、惚れた相手の仇すら一人で討てない。そんな自分こそが、最も許せない存在であったと吐露。モナドマンダラにて己の弱さを受け入れ、最終決戦へと向かう。

 

1.5 桐島英理子

前作にも登場した聖エルミン学園の元生徒。

南条くんと二択で「罰」のパーティメンバーになる。

有名大学に通いながら、ファッション誌の人気モデルとして芸能活動を行っている。元々のオカルト好きな性格から、心霊番組などにも出演している。数年前にストーカー被害に遭っており、強いトラウマを抱えている。

使用武器はレイピア。適性アルカナは審判。初期ペルソナはJUDGEMENT ニケー、最強ペルソナはJUDGEMENT ガブリエル。ただし、ガブリエルを召喚するためのマテリアルカードはエキストラダンジョンでないと入手できない。ステータスはTECを中心にバランス良く伸びる。前作の女神異聞録の時と同様に使い易い。ただし、JUDGEMENTの耐性は大幅に弱体化している。そもそも前作の耐性(魔法無効 or 反射)がバグだったとも言える。


拒絶を恐れ、自分を偽り続ける女性。

前作主人公(ピアスの少年)に対して恋心を秘めていたが、彼が街を離れる際、「行って欲しくない」という本音を押し殺してしまう。それは彼女が拒絶を恐れていたためであり、その時から「自分を偽らない女性になる」という夢を見失っていた。ストーカーの幻影から「お前も俺と同じだ」と言われたことや、ピアスの少年の幻影から「一方的な好意は迷惑だ」と言われたことは、全てエリー自身の恐怖からくる幻想。後に岩戸山のイベントにて、「夢へ近づけない理由も、笑顔が固い理由も、全ては自分が臆病なためだ」と自分の弱さを受け入れ、達哉と入れ替わる形でパーティを離脱する。

 

1.6 南条圭

前作にも登場した聖エルミン学園の元生徒。

エリーと二択で「罰」のパーティメンバーになる。

ごめん、選んでないから詳しいこと分からん。

 

1.7 周防達哉

「罪」の記事参照。

 

2. システム

戦闘のバランスが調整された。

合体魔法のダメージ効率が跳ね上がり、ボス戦でも戦略的に利用価値のある技になった。これによって、合体魔法のパーツとして有用な技を取得できないペルソナは価値が低くなっている。一方で即死技が弱体化し、全然当たらなくなった。

悪魔とのコンタクトが複雑になった。

ひとりにつき1アクションになったが、その代わりに組み合わせが膨大になった。何人で、どの順番で交渉するのかによって内容が変わるので、初めて会う悪魔とのコンタクトを成功させるにはかなりの運が絡む。正直、攻略サイトを見た方が良い。

固有ペルソナの燃費の悪さが改善。

「罪」では何故か後期専用ペルソナと最強ペルソナの消費SPが異常に高く、燃費が悪かったが、今作では改善された。また、イベント入手ではなく、マテリアルによる召喚になったため、合成もできるようになって自由度が増した。

 

3. ストーリー




「罰」の始まり

前作「罪」のラストにて達哉と舞耶が出会い、そして達哉が全ての記憶を取り戻すところから、全てが始まる。なぜ達哉だけが記憶を取り戻したのか。なぜ達哉だけが過酷な戦いに身を投じなければならなかったのか。それは最後に明かされる。


一通の手紙

キスメット出版に務める舞耶の下に、JOKERから手紙が送られてくる。JOKERとは「自分の携帯から自分の携帯にかけ、出た相手に殺して欲しい相手の名前を告げると代わりに殺してくれる」という都市伝説のこと。



日常の崩壊

初代ペルソナから登場している反谷校長の死によって物語の幕が上がる。


JOKERを追う達哉

舞耶は達哉と駅前で出会ってから、「罪」の世界の出来事をデジャ・ビュとして追体験するようになっていた。達哉は「噂が現実になる」という世界の仕組みと、「七姉妹学園のエンブレムはJOKERから身を守ってくれる」という噂を流すよう告げ、「これ以上関わるな」と忠告して去っていく。しかし、JOKERとこれ以上関わらないということは、JOKERを追う達哉の足取りも掴めなくなってしまうということでもあった。





舞耶の選択

舞耶はエンブレムを燃やし、JOKERを追う道を選ぶ。

ここのアダルトな空気は、登場人物のほとんどが大人である「罰」独特のもの。


パオフゥからの情報で、JOKERは大物政治家・須藤竜蔵の息子であることが判明する。その人物は、「罪」の世界にて神社に放火した犯人・藤竜也。須藤竜也は少年時代からエリート教育を強要され続けたせいで精神を病んでおり、精神病院に幽閉されていた。


藤竜也の病室

壁には殺人事件の被害者たちの写真が張られており、至る所に「マイヤの信託」が綴られている。




達哉との共闘

竜也は「罪」の世界の記憶を保有しており、しきりに「『向こう側』を思い出せ」と繰り返す。そして、歴史をなぞるように空の科学館に放火し、屋上にて戦闘になる。

ここでの戦闘は達哉が一時的に仲間に加わる。LV55以上でセーブデータを引き継いでいれば、「罪」の達哉のステータスが反映される。さすがは前作主人公。性能は破格のひとこと。須藤竜也をほとんどひとりでぶちのめしてくれる。戦闘後は「罪」と同様に飛行船で脱出することになる。



この世界の淳は達哉と面識が無い。


達哉は舞耶を事件から遠ざけようとする。



新たな噂

ワンロン千鶴によって新たな噂がTVに流される。それは、「JOKER呪いをした人間もJOKERになる」というもの。噂が真実になる街で、徐々にパニックが広がっていく。その中で、舞耶の携帯にうららから電話がかかってくる。



うららとの戦闘

明確な「夢」や「理想」を持つ舞耶を妬み、かつてJOKER占いを行っていたうららは、噂によって自身もJOKERになってしまう。これはある意味で非常に彼女らしい事件と言える。



うららは作中で、「大人に成り切れない大人」としての側面がしばしば描かれる。時間が経てば身体は勝手に成長するが、精神面は必ずしもそうとは限らない。そういったギャップに苦しむ等身大の未熟さが、うららというキャラクターの魅力でもある。



その後、スニークと名乗る男からのタレコミで、舞耶は初代組接触することになる。




千鶴のTV局へ

初代組の力を借り、TV局へ乗り込む。南条くんとエリーは選択。僕はエリーにしました。



この世界のリサは、親友の二人と共にアイドルとして活動している。当然「罪」の世界の記憶は無い。






エリーのトラウマ

エリーの適正アルカナはJUDGMENT「審判」であり、強い警戒心と虚栄、それによる破綻を意味する。トップモデルとして活躍する彼女だが、その実は非常に臆病で、常に周囲の目を気にし、他人に望まれる自分を演じる癖がある。今も想いを寄せる前作主人公(ピアスの少年)に、実は疎まれているのではないかという幻想。そして、自分がやっていることは、自分を傷つけたストーカーと何ら変わりないのではないかという恐怖から、千鶴の幻術に嵌ってしまう。


達哉乱入

達哉の目的は「新世塾」と呼ばれる組織の企みを潰すこと。ワンロン千鶴こと「石神千鶴」は新世塾の一員であり、さらに彼女は「神取鷹久」という名を口にする。



「神取鷹久」とは女神異聞録ペルソナで起こる一連の首謀者。作中で死亡したはずだが、彼もまた「噂」の力によって蘇り、「神条久鷹」という名で竜蔵の秘書をしていた。


新世塾との戦いは激化する。

戦いの中で、新世塾が須藤竜蔵を実質的なトップに据える巨大組織であること、そして目的が「人々の罪」であることが明らかになる。



新世塾について話す富樫署長

新世塾の情報を舞耶たちに流していた「スニーク」は、克哉の上司でもある富樫署長だった。富樫署長は克哉の父の元相棒であり、また父を裏切った張本人でもあった。





富樫署長は島津管理官に撃たれ、己が過去に犯した過ちを悔いながら命を落とす。克哉の父に庇われ、新世塾の企みに無理やり加担させられながらも、最後は公僕として死んでいった。片や島津管理官は、「無原罪」の世界を創るという自らの理想を求めて死んでいった。

このゲームはとにかく色んな人がよく死ぬ。

新世塾の目的が徐々に達成されつつある中、須藤竜蔵はトカゲの尻尾切りとばかりに各勢力を切り離していく。






パオフゥの復讐

彼の本名は嵯峨薫であり、元珠間瑠地検特捜検事。かつて須藤竜蔵と台湾マフィアの関係を探っていた際、竜蔵が差し向けた殺し屋の云豹(ユンパオ)に襲われ、恋人の浅井美樹を喪っていた。

 

そして世界は再び滅びへ向かう。

 



淳、栄吉、リサの三人は、何か大切なものを忘れてしまったような喪失感を覚える。




舞耶たちは新世塾と止めるため、日輪丸という船に突入する。




達哉と共に敵の増援を叩き、竜蔵を追って海底遺跡へ。



神取鷹久&石神千鶴との戦闘

海底遺跡で待ち受けていたのは、神取鷹久石神千鶴の二人だった。二人の目的は龍の活動を制御する「要石」の封印を解くこと。「要石」は世界に11個存在し、海底遺跡の「要石」はその最後の一つだった。


戦闘後、崩壊を始める海底遺跡で、神取は「早く行け」と言って舞耶たちを逃がす。神取は最期まで寄り添う千鶴と共に、海の底へ消えた。


麻希は「女神異聞録ペルソナ」のヒロインで、神取鷹久に利用されていた人物。そんな彼女ですら、神取を「本当の悪人とは思えない」と語る。





達哉と共に岩戸山へ

達哉の口から世界の秘密および「罪」の世界の出来事が語られる。










エリーの離脱と達哉の加入

岩戸山で過去の出来事が映し出される。エリーの過去の映像は、想い人であるピアスの少年が街を離れるシーン。「自分が夢に近づけないのも、笑顔が硬いのも、全ては自分の心が臆病なせいだ」と自覚し、達哉と交代する形でパーティを離脱する。

ここのシーンは初代からプレイしていた人にとっては感慨深い。





達哉と共にトリフネへ

アメノトリフネは前作「罪」で「シバルバー」と呼ばれた船。実質的なラストダンジョンだった。



菅原だったもの

悪性の病に侵され、不老不死の肉体を求めた菅原陸将の成れの果て。恐るべき回復能力を得る代わりに、常時苦痛に苛まれる悪魔となって達哉たちに襲い掛かる。

こいつがマジで強ぇの

まず毎ターンHPが約800回復するので、まずそれ以上の火力が無いと物理的に倒すことができない。攻撃方法も「触手」、「大暴れ」、「麻痺引っかき」と、高火力で厄介な技が並ぶ。こちらを強制的に狂暴状態にしてくる「雄叫び」も嫌らしい。



御霊のいる珠閒瑠城へ



須藤竜蔵の成れの果て

珠閒瑠城の最上階で、達哉たちは須藤竜蔵を追い詰める。しかし竜蔵は、御霊によって「忌まわしき狩人」と呼ばれる悪魔へ姿を変えられる。政治、警察、マフィアなどを股にかけて暗躍した首謀者の、悲惨な最期であった。

そしてついにあのお方が姿を現す。




最後の「罰」

ニャルラトホテプは、前作「罪」にて達哉と行動を共にした淳、栄吉、リサの三人を捕らえ、「こいつらが記憶を取り戻したらゲームオーバー」であると語る。その理屈は、「罪」のエンディングが全て物語っている。

「罪」のラストにて、達哉たちは滅びを止めるために、七年前の出会いを無かったものとして世界をリセットした。その結果生まれたのが今作「罰」の世界である。つまり、彼ら三人が前作の記憶を取り戻してしまったら、リセットは帳消しとなり、「罪」の世界と「罰」の世界が重なってしまう。

達哉はかつて共に戦った仲間の記憶を、絶対に取り戻させてはいけないという孤独な戦いに挑む。







克哉の過去と想い

克哉は元々パティシエになりたいという夢を持ちながらも、父の冤罪を晴らすために父と同じ警官になる道を選んだ。

また、弟・達哉の将来のために貯金もしており、生活を切り詰めて生きてきた。

さらに、自分のシャドウから、自分が舞耶に想いを寄せていることと、達哉のために身を引こうとしていることを明らかにされる。

常に他人を優先し、自分が本当にやりたいことを諦める人生を指摘され、克哉も、その「指摘は半分正しい」と認める。認めた上で、その全てが自分が選んだ自分の人生であると受け入れ、達哉を想う気持ちに偽りが無いことを再認識する。












パオフゥの過去

それは特捜検事・嵯峨薫が「死んだ」日の出来事。

須藤竜蔵が差し向けた殺し屋に襲われ、元相棒の浅井美樹は命を落とした。薫は発言したペルソナによって生き長らえるも、警察からは「殉職」として扱われた。

その後、警察を信用しなくなり、噂屋を営んで情報を集めながら、復讐の機会を伺うようになる。ペルソナについても、「パートナーの一人も助けられない力」として嫌悪するようになる。

しかし、パオフゥが本当に許せないのは自分自身だった。

己の弱さを認められずに司法を恨み、ペルソナを嫌悪することでしか自分を保てない。恋人の仇すら一人で討てず、偶々出会った舞耶たちを「ダシにする」ことでしか成し遂げられない。そんな無力な自分こそが、本当に許せない存在であることを吐露する。


そしてニャルラトホテプのもとへ

なぜ達哉だけが記憶を取り戻したのか。

なぜ達哉は「罰」を受けなければならなかったのか。

 

それは前作「罪」にて、達哉たちが「世界のリセット」を強いられた時のこと。

 


栄吉「色々あったけど、また会えて嬉しかったぜ。戻ったら今度こそバンドのメンバーにしてみせるからな。漢の約束……忘れんなよ」


達哉「……」


リサ「情人(チンヤン)、私のこと……忘れないで。大好きよ……」


達哉「……」


淳「僕は忘れない。犯した罪も、君のことも……みんなのことも。必ずまた出逢い、今度こそ舞耶姉さんを守るんだ。だから、さよならは言わないよ。ただ……ありがとう」



達哉「駄目だ……忘れたくない。忘れられるものか」


達哉「みんな……行かないでくれ。ひとりにしないでくれ。嫌だ……嫌だ……嫌だ!」






達哉の「罪」

達哉の罪とは「記憶を捨てること」の拒絶

世界を救う唯一の方法が「リセット」しかないと知りながら、達哉はそれを拒んだ。栄吉、リサ、淳の三人が記憶を手放す中、達哉だけが約束を違えて記憶に縋り付いた。その結果、二つの世界が重なり、「こちらの世界」では本来起こり得なかった「滅び」へ向かう切っ掛けとなった。

つまり、達哉は全ての元凶と言える存在だった。


そして達哉の「罰」とは、世界の滅びを止めるため、たった一人で戦い続けなくてはならないこと。

達哉と行動を共にするということは、「罪」の世界の記憶を取り戻す可能性が高くなるということ。舞耶が感じた「デジャ・ビュ」はこの予兆。しかし、記憶を取り戻した人間が増えるほど、世界は「滅び」へ近づいてしまう。このため、達哉は舞耶を自分から遠ざけようとしていた。




「ああ、うるせえ……
 運命運命……
 同じことしか言えねぇのか?」

「いいか、達哉……
 運命なんてのはな……
 後出しの予言と何も変わらん。
 何かが起こった後で、
 こう言えばいいんだ」

「『全部運命だった』ってね!」

「俺は、もう二度と背中を見せない
 犯した罪にも……自分にもだ!」


最終決戦



激戦の末、ニャルラトホテプを普遍的無意識へ還すことに成功する。

しかし……




達哉がこちらの世界で特異点であることに変わりはない。達哉がいる限り、二つの世界は再び重なろうとする。

それを防ぐには、達哉が消えるしかない。







今の達哉は、「罪」の世界の精神が「罰」の世界の精神を乗っ取っている状態。舞耶、うらら、克哉、パオフゥたちに別れを告げ、達哉は既に滅んだ自分の世界へと帰っていった。





 

それぞれの結末

 







パオフゥは美樹のお墓参りに行き、ようやく過去と決別した。新たなパートナーとしてうららを迎え、新たな人生へ踏み出した。

 











初代組は久々に全員が集い、最後に「ピアスの少年」が到着して再会を祝う。

 





「罪」のメンバーたちは、「向こう側」の記憶を取り戻さないまま、大切なものを失った喪失感を感じる。

 






「こちら側」の達哉は、不仲だった兄に相談を持ち掛ける。克哉はそれに快く応じ、達哉の夢を応援した。

 

そして舞耶は……

 





 

4.感想

めっちゃ面白かった。

二作品続いた壮大なストーリー。今の時代にやろうと思ってもなかなかできない構成だと思う。何度も言うように、これは周防達哉の物語。タイトルの「罪」と「罰」は周防達哉が犯した罪と罰のこと。

しかしまぁ何と言うか……

なんて報われない主人公なんだ。

誰ひとり仲間がいない孤独な世界で、自分の罪と向き合いながら、世界のために足掻き続けなければならない。しかも最後には滅んだ世界へひとり帰っていくという、何一つ救いがない人物。

てか、言うほど大罪かね?

確かに、達哉のせいで世界が滅びの危機に瀕したと言えなくもない。でも、記憶失うのを拒むって、寧ろ正常な反応だと思うけどね。何せ、達哉にしてみればずっと孤独に生きてきて、やっとできた掛け替えのない仲間なわけよ。その仲間達との絆を失うことを恐れて、それがお前の犯した「罪」だって言われても、普通は納得しないって。

でも、達哉は十字架を背負ってしまう。達哉だからこそ、不幸に溺れずに自分の罪と向き合ってしまう。それが達哉と言う主人公の魅力であり、同時に切なさでもあると思う。

それにしても毎度のことながら、ペルソナシリーズは各キャラクターの個性が丁寧に作られていて見事と言う他ないですね。

「人は様々な仮面をつけて生きるもの」であるというのがペルソナシリーズのコンセプト。基本的には未成年の少年・少女に焦点が当たることが多く、思春期特有の漠然とした将来への不安から、「自分は何者なのか?」という疑問と向き合っていく展開が多い。でも、今作はその焦点が「大人たち」に当てられている。これこそが、「罰」が異色と言われる所以。どう考えても子供向けの作品じゃない。

何よりあのラストバトルの熱さ。

そしてエンディングの切なさ。

出会ったことによって始まったストーリーが、今度は出会わずに終わる。とても綺麗な締め方だったと思います。

間違いなく名作。機会があれば是非プレイしてみて下さい。

長々と読んで下さってありがとう御座いました。

ATLUSさん、リメイク待ってます。